約 5,584,453 件
https://w.atwiki.jp/rmao/
RMAO@wiki トップページ まおにゃんはかっこいい!! まおにゃんは天才!! まおにゃんは太陽!! まおにゃんは神!! ____ / ヽ _ i´ ̄( ̄`ー-‐´ ̄) ヽ、 ゝ (・)-o-(・) \ | (_ (__人__) ) | ←杏里 | i__i__i | \ /ヽ (ヽ、 / ̄) | | ``ー――‐ | ヽ、.| ゝ ノ ヽ ノ | ※注意 当ページは“まおにゃん”ではなく“RMAO”のwikiです。 そのため、まおにゃん派の方の閲覧はオススメしません。
https://w.atwiki.jp/innocent-moon/pages/7.html
iNNOCENT-MOON@Wikiについて このページはどちらかというと「いのむん@Wiki」の方についての説明及び注意点等をまとめてあります。「いのむん」中身の説明については別ページに書かせてもらいます。 iNNOCENT-MOON@Wikiについてこの@wikiページは 書き込みのガイドライン メンバーについて リンクとか著作権とか 管理者 この@wikiページは iNNCENT-MOON(略称いのむん)製作のためのデータベース予定地です。 →いのむんとは? 新規投稿及び編集はメンバーオンリーになっております。 書き込みのガイドライン 基本的にWikiモード推奨。 ページ名をそのままリンク名に使っていくのでページタイトルは簡潔に。詳しい事はページ内に書く様にお願いします。 製作者側向け裏注釈は表に見えないように、出力されない「コメント行」を使いましょう。行頭に//をつけてください。出力されません。 ページ内の編集及び削除を行った場合はBBSで報告を推奨。 新規ページ作成は自由に行ってください。リンクや編集でわからない事あったら管理人を呼びつけてください。 突然レイアウトが変わっても泣かないで下さい。 メンバーについて 「iNNOCENT-MOON」は「黒猫亭」によって製作されています。 黒猫亭HP リンクとか著作権とか 身内用のデータベースなので、価値あるかどうかはわかりませんが(笑)リンクはフリーという方向で。事後連絡いただけると中の人たちが喜びます。 著作権は「黒猫亭」にあります。 なにぶん製作中なモノなので、無断転載ならびに二次配布等はご遠慮させてください。 ひょっとしたら、こっちのページの方がどっかから注意がきて消えてしまう可能性もあります(苦笑) この@Wikiページならびに「いのむん」についてのお問い合わせは管理人まで。 管理者 iNNOCENT-MOON@Wikiの管理者です。 管理人 みやのみasしゃると メールフォーム
https://w.atwiki.jp/mongwiki/
マングース@Wiki 作品群 マングース1 The Earth(仮) マングース2 Rebellion(仮) マングース3 Genesis(仮) マングース4 Material マングース5 Elysium マングース6 マングース7 Aria マングース8 Jihad マングース9 マングース10 資料集 国際政府 属性・能力 世界戦 創世記・歴史年表 世界観設定ets... ※当サイトからの無断転載・引用は完全禁止
https://w.atwiki.jp/taleofatom/pages/17.html
901 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/04(月) 00 10 14.46 ID Q2uYkIAO アルゴンはまた何を信じればいいのかわからなくなる衝動に駆られそうになったが その湧き上がる気持ちを無理やり抑え込んだ。 自刃せねばならないと思ったこの従者の愚かさにむしろ怒りがこみ上げてきた。 悲しんでいる暇はなかった。 間髪を入れずもう一人の兵士が入ってきて告げた。 「申し上げます。我々が籠もっていた砦が先程敵の総攻撃を受け落城!城兵はみな討ち死にしたようです!」 コルリーはアルゴンを見上げた。 「皇子、時は一刻を争います。早く脱出を」 アルゴンはゆっくり頷くと、上着を横たわる従者にかけてその場を後にした。 その後、 コルリーは敵の包囲網を巧みに抜け 船が用意してある海岸まで辿り着き、無事アルゴンを国へと帰還させることに成功した。 この一件でコルリーは幕令から郡太守へと昇格し 親子二代の郡太守となる。 反乱を起こした某国は 反乱者達の内部対立により足並みが乱れ、その隙を突いた帝国軍の総攻撃により三日で首都は陥落。 反乱の首謀者はことごとく撫で斬りにされ、擁立された王族は島流しにされた。 アルゴンは再び目を開けると、ベッドに横たわっていた。 どうやらそのまま寝ていたらしい。 外はすでに暗くなっておりランプと*発光樹がこうこうと部屋内を照らしていた。 *光を吸収し暗くなると様々な色に発光する特殊な樹木。大抵は小さな丸太にして部屋の装飾として飾られることが多い。光量は本が読めるほど明るい。 902 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/04(月) 01 02 59.44 ID Q2uYkIAO とりあえずベッドから降りて辺りを見回すと 近くの机の上に置き手紙があるのに気づいた。 『酷くお疲れのようでしたのでそのままベッドへ移させて頂きました』 眠ってしまったのは不覚だったが これで確信が持てた。 もしコルリーが裏切っているならば自分に何かしらの危害を加えることが出来たはずである。 今のところとくに体に異常はない。 そして脇差しを腰に刺したところで思い出した。 (クロム…!) あれからかなり時間は経っている。見つかったのか。 急いで部屋のドアに向かいノブに手をかけていきよいよく開けて そのまま出ようとした瞬間、ドアの前の何かに気づいた。 「………あっ…」 「お、皇子………!」 薄暗い廊下にクロムがいた。 一瞬時間が止まったように動きが止まった。 そしてクロムは少しまごついたように手をわたわた動かすと頭を下げて 「も、申し訳ありませんっ…!勝手な行動を取り、様々な御迷惑をお掛けしてしまい…ほんとうに…」 「いつ戻った?」 「*二時間ほど前に…」 *分かりやすく現在の時間間隔に合わせます 「ずっと待っていたのか?ここで」 「は…はい…」 「………、そうか。治安維持は我々の務めでもある。今回は多目にみよう。だが今度からはそういうことは極力控えるんだ」 「はっ、はい!………あとそれから…」 クロムはローブのポケットから一枚の紙を取り出した。 903 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/05(火) 10 02 47.53 ID bK9GgUAO 「皇子が起きたらこの場所に来てほしいとラドンさんが。ささやかな晩餐会を開きたいといっていました」 「あ、もしお疲れならば私が丁重に断ってきますが…」 見ると紙には簡単な地図が記されていた。 今いる館からそう遠くではないようだ。 「クロムはどうする?」 「実は…私も誘われています」 「………。ラドンが直接クロムに言ったのか?」 「はい、確かに」 アルゴンは少し思案すると、 「…せっかくの誘いだ、列席せねばラドンに悪いな」 「分かりました。では出席するとラドンさんに伝えておきます………」 「……………」 「…どうかなさいましたか?…私の顔に何か…?」 「……いや…、無事でよかったよ、クロム」 「……//そ、そんなっ…//勿体ないお言葉っ…」 クロムはまた手をわたわたと動かして紅くなった顔を少し覆った。 「……それじゃあ支度をするから待っていてくれ」 「…はっ、はい!」 904 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/06(水) 00 24 28.70 ID fRYqVoAO バタン… クロムは見えないように隠していた腕を押さえた。 まだ痕も痛みも残っていた。 (これ以上皇子に心配をかけちゃ……。でも……無事でよかったって…///) ―――――― ―ある宿屋 「この廊下のつきあたりの部屋なんだけどねぇ」 カジ、シアン、リンの三人は 軍兵ではないとのことからクロムとラドンのはからいで 仮設宿営地ではなく、城内にある郡府直営の宿屋に泊まらせてもらえることになった。 「ハロゲンの方で戦争があったっていうから旅の行商さん達がみんなランタンに留まって部屋がほとんど満室なんですよ。嬉しい悲鳴ですがねぇ、やっぱり大変ですねぇ」 宿屋のおばさんが三人を部屋に案内しながら世間話を中心にあーだこーだ喋っていた。 「へぇ~大変ですね~」 それにシアンが適当に相づちをうちながら頷く。 「でもねぇさすがに女の子と男の子を一緒の部屋にするってのはちょっとまずいんじゃないのかい。ほら……あなたそういう盛りでしょう」 すかさずリンさん。 「私が責任をもってそういうことはないよう見張ってますよ」 「そうかい、ならいいけど」 (そういう目で見られてるのか…俺…) そして部屋につくと荷物を置き、窓を開けた。 角部屋でしかも宿屋が小高い丘の上にあるためなかなか見晴らしがよく 窓からの眼下には*郡府まで続く街一番の大通りがあり人がひっきりなしに行き交っていた。 *郡都にある政庁 案内してもらったおばさんは最後まで不審の目でこっちを見ていたが…。 「あー疲れたぁっ…!」 ドサァッ…ゴツッ! 「うわっ!いたっ!」 ベッドに勢いよく寝っ転がったはいいものの薄い布がしかれているだけで 思いっきり頭をぶつけた。 905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/05/06(水) 03 40 00.80 ID HAnzsIAO 変なこと聞いちゃうけどもうエロシーンはカットの方向で? 906 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/06(水) 08 18 01.32 ID fRYqVoAO 905さぁどうでしょうw 907 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/06(水) 15 38 15.92 ID fRYqVoAO と、いうか なくなりはしません、多分 ただ少なくはなるでしょうね 現在の物語の雰囲気上やむを得ないのであります むしろ初期やりすぎたかな…と思ってるくらいで それが今さらいろいろと響いてきています…。 えぇ、俗に言う設定の矛盾ですよ ただ期待にはできるだけ応えていきたいと思っています。 あと、そういえばパー速で今自分が書いてるようなオリジナルの物語書いてる人いるんでしょうか? 908 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/06(水) 20 32 41.63 ID fRYqVoAO さらにチラ裏 同じようなものを書かれている方がいらっしゃれば少しでも参考にでもしようかと思ったので。 他意はありません。 そしてこれから進めていくに辺り まだ序章、導入編ですが おそらくはこれから先の話は戦争のお話しも多くなってくるでしょう。 と、なると生半可な戦争の知識じゃかなり行き当たりばったりなことになりかねないでしょうね…。 あんましズレたことは個人的に書きたくない(最初からかなりズレてますができるだけちゃんとしたものにしたい)ので、 孫子とかクラウゼヴィッツの戦争論でも読んでおこうかと…。 読める時間あるかわかんないけど。。 他になにかお勧めとかあったら教えてくださるとありがたいです。 でも一番大事なのは文体と構成力かも…。 ちなみに今見てわかる通り文の試行錯誤中です。。 読みにくくなったかもしれませんが…。 909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/05/06(水) 21 47 36.81 ID dEqeGkDO オリジナルの物語というか・・新ジャンル系はけっこう一人で物語書いてる感じが多いような あとここみたいに女「とか妹「とかで始まるようなの 910 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/07(木) 20 17 58.02 ID KtkcfsAO 909いや…、どちらかと言うと軍記物や戦記物みたいな……。 うーん……。 はっきり言ってこのままファンタジー戦記書きたい自分がいます。 最初は変態新ジャンルでやってましたが 心境の変化というか趣向が変わったというか…。 もう方向性変えちゃって……いいかな? 変わっちゃってるけど。 せっかくここまで設定考えて書いてきたのだから ただで終わらしたくないんです。 少し真面目にやりたいんです。 この…自分の我が儘に付き合って下さい…。 (できることなら設定そのままでやり直したいくらいです…。でもそれは止めておきます) 911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/05/08(金) 01 44 54.00 ID ZAmkeP.o やりたいようにやればいいと思うよ ただ、そうなるとスレタイは変えた方がいいかもなww次スレ立てるときにでもさ 912 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/08(金) 13 25 26.71 ID xzhNGYAO 911もちろんそのつもりです 950くらいになったらいくつか題名案を出して決めようかと。 913 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/10(日) 00 18 17.82 ID j57Dd6AO カジ「っ…いったぁー!!」 シアン「これ石のベッドじゃない?ほら、布で隠れてて見えないけど」 シアンが布をめくると確かに白っぽい色の石の断面が見えた。 リン「ランタンってほらアルケン山脈の麓じゃない。アルケンって昔から方解石がよく採れたからこの辺りでは日用品に使われてるっていうのを聞いたことがあるわ。ひんやりして寝やすいんじゃないかしら?」 カジ「へ、へぇ…そうなんですか…」 その時隣の部屋から音が ドスッ 「いてっ」 「ちくしょうっ!石かよ!」 隣部屋との壁が薄いのか隣部屋の客の声がそのまま聞こえた。 顔を見合わせる三人。 カジ「同じことを…」 シアン「だいぶ筒抜けなんですね…音…」 リン「仕方ないわよ、そんなにいい宿じゃないんだから」 といいつつ別にリンさんは気にしていないようである。 リン「そういえばカジくんさっきの商人の女の子にお食事誘われたんだって?」 シアンは知らなかったようで、カジの顔を軽く睨んだ。 カジ「い、いや…まぁ…そうなんだけど…。一応二人きりじゃまずいからみんなでってことにしたんだ。この宿屋の前で待ち合わせるって」 リン「そう、じゃ早く行きましょ、お昼食べてないからお腹ペコペコ。しかもランタンって食糧庫ってだけあってご飯が美味しいらしいから2、3軒ハシゴするのもいいわね~」 シアン「そうなんですか!?きゃー楽しみ~♪」 カジはこれから起こるであろう気苦労で果たして美味しくご飯を食せるのか、飯が喉を通るのか… 騒ぐ二人を尻目にすでに頭は満腹状態だった。 914 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/11(月) 20 50 55.08 ID ecWDHYAO 三人は支度を済ませると部屋を出た。 そしてドアにつけられた粗末な木製の錠に鍵をかけていると、 ガチャッ さっきカジと同じように石に頭をぶつけたと思われる男が 隣の部屋から頭をさすりながら出てきた。 その男、長髪でボサボサの髪を茶杓状に後ろで縛っていた。 着ている服装はなかなか位の高そうな朱色の衣服を纏ってはいるが ずっと着たままなのかところどころ破れ、朱色が茶色になっており これがかなり目についた。 リンさんは無視してなかなか閉まらぬ錠に悪戦苦闘してたが カジとシアンはその男と目が合った。 軽く会釈するとその男は軽く頷いて返した、 そして視点をずらし悪戦苦闘するリンさんを一目みた。 するとはっきりとした目をさらに見開いて口をへの字にしてまた部屋に入っていった。 「なんだろう…変な人…」 シアンがそう呟くと同時にリンさんは施錠し終えた。 「もうっ…、錠って苦手。…ん?二人ともどうしたの?」 「い、いやなんでも」 「そう、じゃ行きましょ。大切な物は持ったわね?」 三人が階段を降りていくのを建て付けの悪いドアの隙間から目で追いかける男がいた。 (あれは……もしやタンタルの王女?) 915 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/11(月) 23 05 25.55 ID ecWDHYAO ――――― 「あっ!こっち!こっちですっ!」 イロンはさっき着ていた服とは違う綺麗な社交用と思われる淡い青の衣装を着て道の向こうからこちらに手を振っていた。 傍らには剣の鞘を握り締めたフェルムが周りに睨みをきかし 笑顔を振りまくイロンと対象に威圧を振りまいていた。 イロンは再び頭下げ 「先程は本当にありがとうございました。皆さんには御礼をしてもしきれませんです」 「城内に私の父の頃から馴染みの料理屋がありまして、そこでささやかながらご馳走したいと思うんですが、いいですか?」 三人は同時にもちろんと答えると、イロンは少しはにかんで 「それじゃあ立ち話もあれですから。えっと…此方です」 馬車が使えないからと、ほのかな街灯に照らされた静寂な小路をイロンのあとについて歩いてゆくことになった。 歩きながらイロン、 「そういえばあの可愛らしい魔法使人さんは?」 「確か用があるからって言ってどっかに行っちゃいました」シアンが答えた。 「そうですか…、あの魔法使人さんのおかげで助かったようなものですから是非御礼をしたかったんですが」 そして怪訝そうな顔で、 「それで盗賊さん達は…?」 「城内の牢屋で1日拘束されたあと取引に乗っ取って解放するらしいわよ」とリンさん。 「もう二度とこのようなことをしなければいいのですけど…」 すかさずフェルムが横から 「お頭のお命を狙った奴です!普通なら拷問で獄死が当たり前ですよ!」 「こらっ、フェルム!」 「まぁまぁ…」カジがやんわり宥めた。 916 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/13(水) 23 07 11.51 ID kZtMOAAO 時間もあったので薄暗い石畳の上を歩きながら 話せる範囲でお互いのことを話し合った。 武器商人であったイロンの父は 大十国の半数国をまたにかける大商人であり、様々の国へ武器の売買を行っていた。 幼い頃から武器を見て育ったイロンは武器についての興味はその頃から培われたらしい。 しかし、ある時大十国内で大きな戦争が起こった。 イロンの父は国の要請で武器を大量に、しかも更なる利益を得ようとして両方の国へ売った。 後日、戦場の側を通ったとき山のように積まれた屍の山と売った武器の残骸を目の当たりにしたとき イロンの父は人相が変わったように顔面蒼白となり頭を抱えて震えていたという。 そしてその頃から病弱となった父はイロンが13のとき肺の病にかかり亡くなった。 父の事業を継いだイロンは遺言通り、国への武器の売買をやめ 今のような規模に縮小した。 そしてフェルムはイロンの父から受けた恩を返すために 食客でただ一人イロンに付き従っている、とてもありがたいと思っています、と付け加えると フェルムは謙遜しながらもニマニマとまんざらでもなさそうに笑っていた。 「ここです」 坂を登りきった先イロンが指さすところに民家に挟まれた小さな小屋があった。 食事をするところにはとても見えない。 「小屋の地下にあるんです」 なるほど、小屋の扉の側に階段があった。 見ると何人か出入りしているようだ。 そして階段を降りようとしたとき、下から登ってくる男と目があった。 「あっ!」カジが声を出すと相手も気づいたようで 「おっ。お前ら、戻ってきてたのか」 腰に下げた太刀と朱色の鉢巻と無精髭が目立つので一目でわかった、ネオンだ。 917 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/13(水) 23 37 36.66 ID kZtMOAAO 「えぇなんとか…。それよりどうしてここに?」 「どうしてって、飯食いにきてたんだよ。ここの店主とは古い馴染みだからな。お前らも飯か?」 もちろん、はいと答えた。 ネオンは後ろに立つイロンをチラリと見て 「……ま、ここの飯は旨いが高い。コネありか金持ちじゃないと気持ちよく食えないだろうよ。俺ぁもう宿営地に戻るぜ、明日もはえぇからな」 と言い階段を登って帰ろうとするのをフェルムがドンと塞いだ。 「…なんか用か?」 「貴様、どこかで会ったことはないか」 ネオンはフェルムの顔をまじまじと見たが首を傾げ 「…さぁな。お前みたいなむさい面した奴の顔なんかいちいち覚えてないさ。わかったらさっさとそこどいてくれ」 「俺は貴様とどこかで会ったような気がする。しかもとても悪いところでだ」 「気のせいだろ。俺みたいな男前の顔なんてどこにでもいる。俺はお前なんて知らんさっさとどけ」 「…………」 カジ達には何が起きてるのかよくわからなかった。 するとフェルムは少しの睨み合いのあと一歩横にずれ道を開けた。 そしてオンは通り際に呟いた。 「………お前みたいな奴を何人斬ったかすら覚えてないんだ…わりぃな…」 918 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/13(水) 23 39 32.25 ID kZtMOAAO まぁこんな感じで不定期に小出しで更新していきます。 溜めて一気に投下ってのもたまにあると思います。 919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/05/14(木) 22 49 39.71 ID KEmqEEDO イロンかわいいよイロン イロンのスペックとか決めてあんの? 920 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/14(木) 23 11 19.16 ID awGY5gAO 919まだあやふやだけど… 年齢17、出身地は大十国(詳細な国名はいずれ) 一見おとなしそうだけど中身はしっかりしてるタイプかな 純粋なだけに少し天然なところがあり そして、武器が好き でも殺戮のための武器は嫌いでどちらかと言うとその形状や、 使用者が使ってる姿、芸術的観点から武器に愛着がある。 国から国へと行商をしているため あまり同年代の男と接したことがない。 だからか歳の近い男に興味がある……ぐらいかな 921 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/15(金) 13 20 40.04 ID zUvXP.AO あ、外見的なスペックなら特には決めてないです 強いて言うならおとなしそうって感じでしょうか 922 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/15(金) 23 45 46.08 ID zUvXP.AO それを聞こえたか聞こえずか フェルムはネオンの背中を見てうわごとのように呟く。 「やはり人斬りだったか…」 イロンは心配してフェルムの顔を覗いた。 「どうか…したんですか?」 「いえ…。昔どこかで会ったような気がしたのですがどうやら気のせいのようです」 「そう…ならいいんですが」 店内に入るとモワッと肉を焼いたような香ばしい匂いとともに 人々の談笑の声が聞こえた。 外装と打って変わってなかなか内装にはこだわっており そこら中に刀剣が飾ってあった。 そしてイロンが店主らしき人に声をかけると店主は懇切丁寧に 奥の席へと案内してくれた。 イロンはカジに先に座らせ自分は隣に座った。そしてカジを挟むかのようにシアンが席につく。 視線がつらい…。 「ここの店主は昔父の元で働いていたんです」とイロン。 「さ、遠慮なく注文してください。さ、カジさんもどうぞ遠慮なく」 「は、はぁ…じゃあイロンさんの何かお勧めを…」 「え!いいんですか?じゃあ、えーと…カジさんはお野菜お好きですか?」 「まぁ、好きかな」 「じゃあじゃあこれなんてどうですか?きっと美味しいと思いますよ!?ね、フェルム」 「お頭がそうおっしゃるならば間違いないです、はい」 「お頭はやめてって言ってるでしょーもー」 フェルムはイロンを援護するのに徹するようである。 椅子を近づけて一つのメニューを二人で見ながらキャイキャイする横でシアンはぶつくさ言いながらメニューを睨んでいた。 923 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/19(火) 18 34 01.21 ID CXELW.AO 結局料理名と内容が一致しないのでイロンが強く進める「コニトリ」と言う料理を頼むことにした。 注文を店主に言うと 「わたしもそれ!」 と、メニューを凝視したままシアンも同じものを頼んだ。 そのあとリンさんは立て続けに4品くらいを同時に注文し フェルムは、安い酒だけでいいと言って葡萄酒を頼んでいた。 するとすぐに食前酒が運ばれてきた。 イロンは躊躇うことなく一気に飲むと、 「はぁ~やっぱり武器に囲まれての食事っていいですよね。カジさん」 「う、うんまぁ……なんか殺気を感じるけど……」 そして壁にかけてあるダガーナイフをとると 「武器っていうのはですね人類の英知の結晶なんです。いかに利便性に優れいかに相手を倒すかに究極とも言える知識を詰め込んだいわば芸術品なんですよ。 そして芸術品とも呼べる武器を最高の使用者が使ったときなんかもうっ……!あ~想像しただけで体が熱くなってきちゃいますよっ!」 と、目をきらめかせながら語るイロン。少し頬が赤くなってる。 「へ、へぇ。そんなに好きなんだ」 「はいっ!けど…あんまり爆弾とか銃みたいな火薬を使う武器っていうのは好きじゃないんです。なんだか…下品っていうか…美がないっていうか」 「わかるわ」と、横からリンさんがイロンと同じく少し頬を赤らめて言った。 「最近の帝国は火薬を使いすぎよ!そのせいで周辺の国の兵士は致命傷を受けてみんな死んじゃってるんだから!タンタルの民も…!*北方諸国も…!」 *アボガドロ帝国の北に位置する多民族が建てた諸王国を総じて言う。近年帝国による侵略をうけている 924 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/22(金) 16 53 44.90 ID 0s5O3QAO 不定期とは言ったものの更新少なくて申し訳ないです 中間テストが近いのでしょうがないっちゃしょうがないんですが…。 ちゃっちゃと三章終わらしてサクッと一息いれたかったんですが こうも伸びに伸びてしまうとは…。 もしかしたら今年一年使っても三章すら終わんないじゃないかと心配になってます…。 925 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/05/28(木) 03 25 59.39 ID EvE83zEo 今はどんな感じのスケジュールで暮らしてるの? 朝から晩までずっと予備校とか? 926 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/28(木) 07 26 59.64 ID HEY6usAO 925基本朝から6時すぎぐらいまで予備校ですね そのあと家に帰ってから少しやることやるとだいたい就寝時間になります 書けるとしたら予備校中か寝る前か休みの日ぐらいでしょうか 927 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/28(木) 15 32 22.33 ID HEY6usAO 「………」 リンの言葉に一瞬騒々しかった店内が静まり返った。 「……あ……え……ご、ごめんなさい…」 リンが粛々と席に座ると、また店内は賑やかな声に満たされた。 イロンは少し声を落としてリンに言った。 「いいんです気にしないで下さい、お食事の席でこんなお話しちゃった私がいけないので…」 すると後ろの席に座っていた体格のいい男がぬっと顔を出して口に手を添えて言った。 「お嬢ちゃん、世間話もいいけど帝国に対する悪口はあんま言わないほうがいいぜ、最近そういうのに厳しいからよ。昨日もそこの広場で叫んでた旧国の王族がしょっぴかれたからな」 「…ご忠告どうも…」 「ま、叫びたくなったら俺の部屋にこいよ俺の上で好きなだけ叫ばせてやるぜ」 「それは遠慮しときます」 そうかい残念だ、と言うと男は自分の席へ戻っていった。 イロンは小声で、 「…確かにこの所帝国に対する中傷や暴言への規制は厳しくなっています。みなさん、気をつけたほうがいいみたいですね」 928 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/29(金) 20 29 12.22 ID GGBaf.AO ―――――――― 「…銃?」 晩餐会が催される場所へ行く馬車の中でアルゴンはこの少し奇妙な事に言葉を反復して聞き返した。 「はい…、昼間に捕らえた賊が所持していました。これです」 クロムはアルゴンに血の付いた長銃を渡した。 「…いくら銃の需要が増えたと言っても、三下の賊が手に入れられるほど安価なものではないはずだが……、!?」 「どうかされましたか?」 「…賊はこれをどこで手に入れたと?」 「大十国…恐らくアルミニア近郊である商人からコランダムと交換で手に入れた、と」 「……コランダム……」 アルゴンは俯いた。 「……そうか………」 コランダム。その存在には謎が多い。 古くは龍創暦以前の壁画にその存在が確認できる、度々史書や伝説として登場しており その時代に活躍した覇者や英雄が所持し、その石の力により圧倒的カリスマを得たといわれる。 伝説では、蒼空から現れし祖龍が人間達が神と崇める岩の上に舞い降り 岩に雷を落とすと青く輝きだし粉々に割れた。 すると祖龍は言った。 「世界を統べよ。さすれば望みを叶えてやる。そしてこの岩石はお前達が統べることを助けるだろう」 と言うと祖龍は蒼空に帰って行った。 人間達は呆気に取られ暫く呆然としていると一人、また一人とその岩石の欠片の魅力に惹かれ 石を拾っていった。見たこともない光を放つその石を。 そして………それまで平和に暮らしていた人間達は石の奪い合いを始め互いに殺し合った。 戦争が始まったのである。 「…………その話が本当ならば、その商人とやらは何者だろうか。…恐らく間違いなく只の商人ではない。この金具を見てみろ」 アルゴンは銃の持ち手を示した。 「アボガドロ帝国は世界最高水準の銃を製造している自負がある。…だがこれはその水準を遥かに越える技術を使って造られているものだ」 「……やはり」 「あぁ。こんなものが世に出回るようになればこの世界は30年もせずに統一されるだろう、それ程すごい技術だ。みろ、見たこともない金属だ」 929 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/05/29(金) 22 49 03.05 ID GGBaf.AO 「確かに…、こんな金属は見たことがありません…」 「もし…大十国のどの国かがこの銃を製造しているならばすでに戦争に使用され、戦果を上げて我々の耳に入っているはずだ」 「しかしそれがないということは、何者かが私的に作った物だろう。しかし…一体誰が…。それに、コランダムのことも気掛かりだ」 クロムは呟くように言った。 「……コランダムを集めているとしたら…」 「………。コランダムを集めようとしている者は大抵支配階級か王族だ。自らの野心を達成するために石の力を借り覇権を握ろうとしているんだ」 「だけどほとんどの輩は手に入らず危険な領域まで踏み込み命を落とす。残りの大多数はそんなものは迷信だと相手にしていない」 「皇子は…実在すると?」 「……子供の頃父上のものを見たことがある」 「…………!」 「…一見はただの白い石、でも子供心ながら心の奥底から欲望が湧きいでるような感覚を感じたんだ。欲しい、欲しいって」 「父上はそれ以降は見せてはくれなかった…。この石のことを言うと激怒して3日ぐらい口をきいて貰えなかったっけ」 「つまり…力は本物ということですか…?」 「恐らくある。今の父上の覇道がここまできたのもあの石の所為だろう」 「………………」 クロムは急に押し黙った。 目を泳がせて唇を甘く噛んだ。 そして意を決したかのように 「皇子……」 「…どうした?」 「皇子は……野心がおありですか」 「なんだ…?急に?」 「このままで…よろしいのですか…?」 「…………」 クロムの目はアルゴンをみずにただ前を見ていた。 クロムが言いにくいことを言うときは必ず目を逸らして喋ることをアルゴンは知っていた。 「皇帝陛下に疎まれて遠ざけられ、辺境の地の巡察ばかり命じられている皇子を見ているのはとても…とても……」 「それに…今回の、一連の策謀も皇帝陛下が仕組まれたものとし―」 「言うな」 アルゴンはクロムの口を封じた。 「それ以上……言わなくていい……」 ガタッ 外の景色の動きが止まった。 ラドンが指定した木と煉瓦でできた館の前に着いた。 930 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/01(月) 00 31 07.02 ID aBvaOYAO 「私は……ただ……皇子がこのようなことで終わるような器ではないと…」 「………クロム、まだ父上がやったと決まったわけじゃない」 「ですが……!このままでは……!」 「行くぞ、せっかくの料理を冷やしてしまってはラドンに悪い」 アルゴンは下車すると、ズンズンと館の中へ入っていった。 「……皇子…………」 ――――――――― 「――という伝説があるんです、コランダムには」 イロンは2杯目の葡萄酒をチビチビ飲みながら身振り手振りで説明した。 「…その伝説に出てくる祖龍って言うのは、実在するの?」 シアンは尋ねた。 「私が信仰しているレプトンの教えではこの世界の創造主であり唯一無二の神と位置づけられています」 「レプトンの教え?」 カジが横から聞いた。 「えっ?知らないんですか?」 「あ、うん…」 「レプトン教団のことよ」 リンがイロンの代わりに言った。 「大十国周辺に多数の信者を抱える教団で祖龍をレプトン神と呼んで崇めてるの」 「かなり敬虔な信者が多いことで有名で、国教にしてる国も沢山あるわ。確かここの郡護太守も敬虔な*レプトニスだったはずよ」 *信者を指す 「えぇ。よくご存知ですね」 「それで…祖龍は実在します。私はまだ見たことはないのですが、祖龍の使いである祖龍子は度々この世界に現れては我々人間に知識や魔法を授けていると史書に幾つも書かれていますし」 (………祖龍子………) 「祖龍も龍創暦の初年―アトム王国の世界統一に際し天より舞い降り王の望みを叶えたと文書で残っています」 「でも、その文書の真偽については今の史家の間では真っ二つよ。当時の王国のプロパガンダじゃないかって説も出てるくらい」 リンが得意の持説をイロンにぶつけた。 酔っているのか史学に対してのプライドなのかかなりずけずけと言った。 931 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/01(月) 18 25 25.47 ID aBvaOYAO 話が段々と複雑になってまいりました…。 あと新スレ建てる前に簡単なあらすじを書きますので 建てる際に貼ってもらえるとありがたいです。 932 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv[sage]:2009/06/03(水) 16 57 23.25 ID HV9cPQgo 約3ヶ月ぶりに来ました。いつの間にか現代(?)から戻ってるな 933 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/03(水) 18 46 10.11 ID hELUoUAO 932このあとまた現代に戻ります。 934 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/08(月) 00 10 53.59 ID 9HpI1EAO 「その可能性は否めません…ですが、祖龍が舞い降りた日の天変地異については確かな文書が残存しているはずです。確か…」 イロンは指先を下唇にあて思い出そうとしているとリンがすかさず、 「天、暗雲に覆われ、雷鳴数百、風吹き渡りて一晩、暁頃に暗雲裂け白光の中より青白き龍光臨す…その時の王国に仕えていた文官の日記の一節でしょ?」 「よ、よくご存知で…」 「確かに、当時の様子を知るには興味深い文献だけど、その部分だけ何度か書き換えたような跡があるのよね」 「え、見たんですか!?」 「えぇ、だって私の国の宝物庫に保管……い、いや、たまたま見る機会があってねっ!うん、たまたま!」 「と、ともかく、祖龍がいるなんていう確かな証拠は今の所存在しないわ。そもそも祖龍子なんてのも…」 「リ、リンさん!」 カジがあわてて静止した。 リンはイロンの方をみてはっと口を押さえた。 「……いるもん……レプトンの神様は…絶対いるもん…」 半泣き状態であった。 「こらぁっ!!お頭を泣かせるとはどういうつもりだぁ!」 フェルムの甲高い怒声が店内に響き渡ると再び店内の陽気な声は静まり返った。 「…フェルム…お頭は…止めて下さい…グスッ」 「あ、申し訳ありません…」 リンはイロンの横でしゃがんで 「ご、ごめんなさいっ…私熱くなっちゃって…イロンちゃんの気持ちも考えずに…」 「いいんです…、私も勉強不足なところがありました…。色んな考えの人がいるのは…最初から分かってますから…」 「おいおい、俺の店は泣く場所じゃなくて笑いにくる場所だよ?さっ、お待たせ、当店自慢のコルトリだよ。涙なんか吹っ飛ぶくらい旨いからな」 カールした髭を蓄え頭の髪が吹っ飛んでる店主が現れた。 そしてアツアツの料理の皿をテーブルに置くと、 「イロン~、泣き虫の癖は治ったんじゃなかったのかい?」 「な、治ってますから!大丈夫です!さっ、皆さん熱いうちに食べちゃいましょう!」 「ハッハッハ、じゃ次の料理持ってくるからね」 935 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/12(金) 00 31 37.50 ID Zpg1JIAO そして再び店主は厨房のほうへ戻っていった。 「じゃ、お先にいっただきま~す」 カジが湯気が立ち上るその料理に匙を差し込んだそのとき、 グスッ…グスッ…… また誰かが泣いている。 見渡すとシアンが料理を目の前にして手で顔を覆ってすすり泣いていた。 「ど、どうしたのよ?お腹でも痛いの?」 リンさんは今度はシアンの席のそばにいってシアンの背中を撫でた。 この事態に円卓には非常に微妙な空気が流れはじめた。 カジもそばに寄って涙を拭くためのナプキンを渡した。 「どうしたんだよ…?急に?」 ちょっと目が赤いイロンもフェルムも怪訝そうな顔で見ていた。 「……グスッ……ごめんなさい………思い出しちゃって……」 「思い出したって…何を?」リンさんが優しく聞いた。 「………お父さんが…よく作ってくれた料理……名前知らなかったけど……グスッ……なんだか懐かしくなっちゃって………コルトリって……いうんだ…グスッ」 カジはすぐに察して、外の風にあたってくることを勧めた。 「うん………ごめんね…そうする…」 シアンはリンさんに付き添われて店の外に出て行った。 店主も不安そうに見ていた。 「どうか…されたんでしょうか?」 イロンがとても心配そうな顔で尋ねた。 「……あいつ…シアンは、昔両親を殺されたんだ…。多分両親にこれと同じものを作ってもらってたから思い出しちゃったんだろうな」 「………そうなんですか、悪いことしちゃったみたいですね…」 「気にしなくていいよ。…大丈夫だから。戻ってきたら平気な顔してるよきっと」 「………っ…」 イロンは何かを言いかけようとして、そのまま俯いた。 「…カジさん……」 936 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/12(金) 00 51 12.99 ID Zpg1JIAO チラ裏 遅筆、すみません。 何度も謝罪するといい加減ウザいのでもう当分はしませんが 見てくださる方にはほんと申し訳なく思っています。 やはり、このペースだと 人もかなり減った…かな?どうだろ? 少し不安ですが、それも致し方ない、か。 展開、設定は常にいつも考えてるんですが それを文字に起こす時間が…。 取れないわけじゃないけど平気で30分とかぶっ飛ぶからね…。 そういえば、現実(?)世界編って見ている方が割と好評なような印象を受けたんですが、 どうなんでしょうかね? だいぶシリアスっていうか残酷ですが…。 魔王の思想もそろそろ固めていきたいところです。 でもなんだかんだいってやっぱ学園生活ものはいいよな~。 941 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/20(土) 00 11 12.76 ID ha2lXsAO 「ん…?」 「いえ……その」 イロンは俯いた顔がいつの間にかカジの顔をぼんやり見つめていたことに気づき少し目線をそらした。 「おいしい…ですか?」 「あ、うんうん!おいしいよ!今まで食べたことない味、パリカリッとしてる」 カジは止めた匙をまた動かしてガツガツ口に頬張りながら言った。 イロンはよかったですと言ってニコッと笑った。そして… 「……カジさん…、カジさんはどうしてシアンさんと旅を?」 カジは匙を一瞬止めた。 「…旅…っていうのかな…。…ゆ…いやシアンがどうしてもやらなきゃならないことがあって…」 「…復讐…ですか?」 「…うん」 「時間…かかりそうですか?」 「…わからない。相手の正体が全く分からないから」 少し変な間が空いた。 「…見つけたら?」 カジは手を完全に止めた。見つけた時のことを深く考えていなかった。 一体どうするのか…。そもそも勝てる相手なのか。かつて見たあの黒々とした大男を思い出して考えてみた。 「…わからない」 結論はやはりこうなる。 「私、何も事情は知らないし差し出がましいですが…、もし私なら…好きな人に復讐なんてしてもらいたくはないです」 「……」 「好きな人が憎悪に駆られてる姿は見たくはないはずです」 「……」 シアンの泣き顔が頭をよぎった。 いつも気丈にしている彼女がどれほどの憎悪を抱えているのか…、それを思わないようにしている自分がどこかにいた。 親を殺された人の気持ちは計り知れないものがあるだろう。 確かにシアンが憎しみで満たされた姿は見たくはない、だが、復讐を止めろなんてことは彼女の気持ちを考えるととても言えそうになかった。 すると店主が後ろから料理を運んできた。 「おいおい、さっきの子俺の作った渾身の料理が美味しくなくて泣いちゃったのかい?」 「いえ…故郷を思い出したんですって」 「そうかい、んま!陰気臭い話はそれぐらいにしてんぱぁっと明るい話をしてやるよ!」 「いや、別にっ…」 「遠慮すんなって、丁度片付いたところだ。そんなどんよりした顔で店にいてもらっちゃこっちが迷惑さ。えーっとそうだな、三日前!そう!三日前にな、俺のダチのルーフォンってやつがよぉ、これが傑作でな―」 942 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/22(月) 00 42 09.37 ID iw6MO.AO ―――――――― ランタン郡府 執務室 コルリーはほのかな発光樹の光と蝋燭の炎の下、丁度治安維持に関する書類に目を通し終わった。 深く溜め息をついて椅子に深く腰を落とし 執務室の赤い天井を見上げた。 そして呟くように、 「……悲しきかな…野心も老いてしまったわい…」 と髭を撫でた。 絶好の機会だった。アルゴンを殺すには。 アルゴンが死ねば、皇太子は居なくなり、その後継を巡って国が乱れてランタンを拠点に独立できるかもしれなかった。 例え軍を差し向けて来ようが、先のタンタル戦で大敗を喫したためそうすぐには軍は興せない。 しかも一年戦える食糧と難攻不落の環濠がある。勝算は十分にあった。 だが出来なかった。 そうさせない自分がどこかにいた。 老いなのか情なのか、さっきからその答えを考え続けて書類に目を通していた。 齢50を間近にし、馬上よりもこの椅子の居心地がよくなってきた自分が少し情けない気持ちになった。 若年の頃、父の勇壮な背を見て育ち、 いつかこの世界の地図に自分の版図を描くと夢みていたものだったが 幾月も経ち、ついにこの年となってしまった。 時間は残り僅かである。乾坤一擲も厭わない気持ちはあった。 出世はした。賢才にも恵まれた。 だが決して満足はしていなかった。 心の奥底から沸々と湧く野心がずっと彼を誘惑しているのである。 機会があればそれを逃す自分はいないはずだった。 なのにしなかった。 道に反するなどはなから恐れてはいないはずである。 ……もしや惹かれているのか? この私が。あの若造に。 そういえば、窮地に陥った皇子を助けた時、 初めて会ったにも関わらず 心の底から命を懸けて助けたいと思ったのを思い出した。 読み終わった書類を書簡に入れて棚に戻していると 衛兵が来訪者を告げる鈴を鳴らすのが聞こえた。 943 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/29(月) 16 58 17.21 ID bAIPGYAO 「政務中だ。明日にしろと言え」 「それが…フォルミカのネオンと言えばわかると言って、居座って帰ろうとしないのです、強引に帰しますか?」 (………フォルミカのネオン…) 棚を静かに閉じると、指に髭を絡ませながら少し考えた。 「通せ」 「もう通させてもらってるぜ」 衛兵「なっ貴様っ!?」 「構わん」 ネオンはドカドカと入室すると部屋中央にある華美な毛皮の椅子に座り 赤の天井を見上げヒューと溜め息をついた。 「久し振りだな、コルリー。あの戦争以来か」 「…辺境のどこかで野垂れ死んだと思っていたぞ」 「俺はしぶといんだ」 「それで…ファルミカの元隊長、赤蟻が私に何の用かな?」 コルリーはネオンに向かい合って座った。 「……単刀直入に言おう。時間も無いんだろ」 「私の寝る時間が短くなるだけだ」 「…そうかい……そうだな、分かりやすくいやぁアルゴンを殺すなってことだな」 少し体がビクッとしたのをコルリーは自覚しすぐに平静を装った。 …私はまだ何もしていないはずだ。 誰かに私の思惑が漏れるはずがない…。 こいつ…いきなりなんだ。 頬が勝手に緩んだ。 「私が皇子を殺すと?馬鹿な。何を言っている」 ネオンの頬も同じく緩み、ふてきな笑みを浮かべた。 「俺は別にあんたが殺すなんて微塵も思っちゃいないと言えば嘘になるが、んまぁ念の為だよ。釘を刺しにきたんだ。やりかねないってことでな。今あれを殺されるとマズいんだ」 「まるで誰かに指示されているような口振りだな。…そもそも叛逆ではないか、ものは考えていえ」 944 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/06/30(火) 22 22 03.16 ID XWiTKcAO 「しっかし、策士コルリー…と呼ばれていた男も今じゃあの椅子の居心地にすっかり慣れちまったようだな」 ネオンは奥の机を見ながら言った。 「……。何故殺してはいけないのかわけを聞こうか、お前はもうこの国の人間ではないはずだろう」 「そりゃあ上の人間を殺すのは外道だからなぁ」 コルリーを皮肉るように言った。 「そうではない。わざわざ言いにきた理由はなんだと言ってるんだ?」 「釘を刺すためさ」 「…………言わないならこちらにも考えがある。今の皇子を抹殺するなど私にとっては簡単なことだ。今夜中に全てなかったことにできる」 「……おーっと!わかったわかった。言うよ、少しだけな。あんた目がマジなんだよ」 ネオンはわざとらしく驚いた。 「実はな……ベンゼンで近い内に騒ぎが起こる」 「騒ぎ…?」 「恐らくクーデターだろう」 「誰が?」 「それは知らないな」 「どこの情報だ?」 「出所は知らない」 「……」 「あんたにも怪しい密書が届いてるはずだ」 「………破棄してしまったよ」 「あんたらしくないな。喜んで荷担しそうだが」 「私を外道か何かと思っているのかね?」 「いや、昔はそうだったろ。まぁいい、ほぼ確実にクーデターが起こる」 「お前すら知っているそのクーデターが何故皇帝の耳に入っていない?」 「知ってるのは俺とあんたと極一部の人間、それに各郡太守だ」 「…郡太守達は中央の様子見をしているのか」 「そうだ。優位な方に加勢するつもりなんだろう。まぁ国に忠誠誓ってる奴にはさすがに密書は送らなかったみたいだが」 「…………」 「そこでだ、俺達はクーデターが起きてコバルトさんが死んだ時に後継者が不在だと国が崩壊する可能性があって困るわけだ」 「何が困る?」 「それは言えんね」 「………」 「すでに皇弟が亡き者になってるし、皇子の命を狙う刺客も次々にきている」 「皇子のお命を狙う者など数多もおるからな」 「……だいたい見当ついてんだろ?誰が裏で糸ひいてんのか」 「まぁだいたいは、な…。それでお前たちはクーデターは止めずに国の崩壊は止めるのか。少し矛盾しておらんかね」 945 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/08(水) 21 35 08.86 ID QuU2igAO 最近なんやらかんやらでだいぶ執筆が遅れております。 これから夏休みにも突入するので(実際は忙しそうだけど) 多少は進められるかなとは思ってるんですが… できれば夏中に過去編には突っ込みたいです。 全く目処は立ってませんが; 若干細かい設定も忘れかけてて困ってます…。 947 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/13(月) 22 39 47.26 ID QNJZkEAO ネオンは机の上に置いてあった樫の木で作られたパイプに火をつけプカプカとふかした。 「現皇帝は用済みってことだ。覇業はアルゴン皇子に継いでもらう」 コルリーは冷静な顔でそんな大それたことを宣うこの男に少し憤りを感じた。 「………何を…」 「ん?何をって事実だ」 「…ただの蟻風情が国家の大事に関われるはずがないだろう!さぁ冗談を話している暇はない!今のは聞かなかったことにしてやるから早く出ていけ!出て行かなければ…!」 ネオンは冷めた目で立ち上がったコルリーを見た。 「…叛逆罪で俺をしょっぴこうってか?お前にそんな権利があるのか?」 「私は郡護太守だ。そんな―」 「―密書が届いたとき、少なくとも騒ぎを起こそうと画策するやつがいることが分かってて何故皇帝に上奏なり密告なりしなかった?え?」 「………」 「あんたは事が起こるのを期待していたんだろ?それであえて言わなかった、違うか?」 「………」 「所詮あんたは俺と同じ穴の狢だ。俺をしょっぴいたってなぁ大衆の面前でこのことを大声で叫んでやるさ。例え文書を破棄しててもこの手紙を出したお偉いさんの耳に入りゃあんたは難癖つけられて失脚だ」 「…………。わざわざ私を責めにきたのかね…。それとも脅しにきたのかね…」 「あんたのその中途半端な野心のせいで計画が頓挫するのは御免なんだよ」 「…この…蟻がぁっ!」 コルリーは脇から護身用の短刀を出して刃先をネオンへ向けた。 「確かに俺は丸腰だが……そんなものじゃぁ俺は殺せないさ。あんたがよくわかってるだろう」 「……っ」 「やっぱり人間護るもんができると保守的になっていけねぇ。あんたの愛娘、さっき拝顔させてもらったぜ。16か17か、いい時期じゃねぇか…男の味を味あわせてもいいんだがなぁ」 「…貴様ぁっ!」 「あの時のあんたは隙あらば主の首もかっきってしまいそうなくらい反骨精神に溢れてたのによ、どうなってんだよ、え?今じゃ帝国の忠実なワンちゃんだ。俺は正直幻滅してんだ」 「…それ以上…!」 「そのままその中途半端ながらくたの野心を墓まで持って行ったらどうだ、肥やしくらいにゃなんだろ」 「……………」 コルリーは少し溜め息をつくとナイフを降ろした。 「…私を怒らせようという魂胆か…」 「だが事実だ」 「あぁ…そうだな」 コルリーはもう一つ溜め息をつくとドスンと椅子に座った。 逆にネオンは椅子からゆっくりと立ち上がった。 948 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/23(木) 23 31 21.07 ID mEd8GUAO 夏休みになれば時間ができると思っていたら逆に忙しくなったでござる しかも夏休みなんか存在しなかったでござる 最後のレスがもう10日前… 時間が経つの早いわぁ。 後先考えず決めた設定をいくつかいじりたくなってきました。 ちょっと話がややこしくなるあの部分… 変えちゃってもいいかな?かなっ? 無理やり話の流れでねじ曲げちゃおうかな ある単語なんだけどね。意味が違う同じ単語ってわかりにくいよなぁ ま、そこら辺含めて勉強の合間に思案してます。 パソコンで書けりゃどんだけ楽か… 949 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/28(火) 22 33 08.78 ID pColI2AO 「さぁてと、そろそろ失礼しますかね」 ネオンは最後に煙を目一杯吸うと、パイプを灰皿の上に置いた。 「安心しなよ、あんたの娘にゃ手なんかださねぇさ。……蟻は女王蟻の忠実なる僕…、心から愛してるのは女王蟻だけだ」 コルリーはこの言葉を隠喩だととっさに察知した。 「……!、まさか、まだあれを!?…はっ、そのために入都許可証を…!貴様全部っ…!!」 この男が何をしようとしているのかについて一本の筋が通ったような気がした。 コルリーが次の言葉を発しようとした時、ネオンはコルリーの口を塞いでいた。 「…流石はコルリーさんだ。頭の回転がお早い。だーが…あんまり大きな声で言わない方がいいな」 「ッ…(あれが何かをわかっているのか!?)」 「それと…もう一つ言いたいことがあったんだ」 ネオンはゆっくり手を離すとその手をコルリーの耳元へ持って行って囁いた。 (八年前のエステル皇妃暗殺事件…お前が一枚噛んでいるんだってなぁ…よくもまぁはめてくれたよなぁ…) コルリーはこの男の凍るような囁きにさっきまで熱を帯びていた背筋が急激に冷めるのを感じた。 「しっ…知らん…!!そんなものは知らんぞっ!それにあれはお、お前の落ち度ではないか!しかもお前の助命を請うたのはこの私なのだぞ!」 「……へへっ…嘘をつくのが下手になったのかなぁ?え?呼吸が少し荒くなったぞ。真実はどうあれ…おかげで俺は五年の追放…」 「…………」 「そういや、あんた信仰を持ったんだって?…レプトンの神か」 首に掛かった祖龍の紋章が刻まれた首飾りを見て言った。 「…………それが…どうした………」 「…神なんてもんはこの世にゃいねぇよ」 「…?」 「今んとこは…な」 950 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/28(火) 23 11 55.12 ID pColI2AO ネオンは再び黄ばんだ笑みを浮かべると 意味を解せないコルリーが瞬きする刹那にはすでに 入り口のドアノブに手をかけていた。 「ま、まてっ!!」 「…」 「これから…一体何が起こる?」 「…あんたは外野で黙って見てるこったな」 振り返りもせずそれだけ言うとネオンは出て行った。 コルリーは座ったまま数分手を組んで頭をもたげていた。 ありとあらゆる記憶と情報が頭の中で交差し収集がつきそうにない。 終始、心臓を握られているような心地だった。 恐らく端からネオンはアルゴンの件は二の次で自分に例の事を伝えるために来た…ということだろう。 おもむろに立ち上がり仕事机の隠された引き出しを開けて 布でくるまれた書簡を取り出し もう一度文面をたしなめた。 時間が分からなくなるくらい静止したまま書簡を眺め そして一呼吸つくと、それを布と一緒にランプの炎に伝わらせ燃やした。 ジワジワと燃え広がる書簡を見てまた一呼吸をつき燃え殻は灰皿に置いた。 ネオンの吸っていたパイプはまだうっすらと煙を立ち上らせていた。 ――――――― ▼晩餐会が催される館 どうぞこちらへ、皇子。 アルゴンとクロムはラドンの案内で玄関ホールから続く螺旋階段を上り 奥の間へ通された。 951 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/07/28(火) 23 36 54.37 ID pColI2AO と、まぁ 念願?の950になりましたぁ! いやー長かった。 さて題名変更の件ですが 何かいい案があればドシドシ言ってほしいのですが。 自分では今のところ 「コランダム」か「アトム戦記」かなとは考えてるけど まだなんか良さそうなのありそうですよね。 てか人いるのかって話なんですが…。 いやまぁしょうがないです!遅筆ですから! スレもほぼ最下層にありますからね! 959 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/08/12(水) 12 22 33.89 ID R9ZWbwAO 奥の間に入ると部屋の壁や天井に神話を思わせる絵が描かれ 部屋の中央には六角形の卓があった。 卓上にはすでに料理が準備され 卓の真ん中の空いた穴からは発光樹の小さな幹が伸び 銀食器をほのかに照らしていた。 「この館はこの地方を支配していた王族が居住していたもので、焼かれずに残っていたんです。どれだけ勢いにのっていたか部屋の内装を見ればわかると思います。ここは玉座でした」 ガタッ 「どうぞ、其方におかけ下さい」 アルゴンは上座に、クロムはラドンの向かいに静かに着席した。 部屋には三人の他には誰も見えなかった。 「まずは…改めて、御無事で何よりでした、皇子…。それでは皇子の生還を祝して…」 ラドンは杯を持った。 「……」 「……っ申し訳ありません…。…此度は…」 「いや…いいんだ…」 「しかし、この圧倒的劣勢でよくぞハロゲンを守りきられました。我が部下以外にも皇子の勇名をみな讃えております」 「………そうか」 「それでラドン殿、そろそろ本題を…」 クロムは話を遮るように尋ねた。 「あ、では…、その本題に入る前に…。つい先程急使が到着しまして…」 「…?」 「…アルミニア軍が六日前*ジルコニア領へ侵攻。ジルコニア軍は徹底抗戦するも連戦連敗、その後アルミニア軍はジルコニアの首都を包囲、三日で首都を陥落させジルコニア王はタンタルへ落ち延びた…とのことです」 *アルミニアとハロゲン市の中間に位置する大十国、十諸侯の中の一国 「!!!」 969 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/08/21(金) 00 05 39.56 ID 8YSPDQAO 「あのジルコニアが!?」 「大十国の一国が滅びたと言うのか…!」 驚くのも無理はない。 大十国は約100年前にあった王朝が瓦解し 十諸侯が独立を宣言した後に いくつかの小国の興亡を除いては 現在まで一つの国も滅亡することなく存在してきたのである。 しかもジルコニアは十国中最も領土が狭いながらも 過去に負けたことは指で数えられるほど少ないと言われる強国であった。 ラドンは準備してあった帝国周辺の地図を広げた。 「…ジルコニアが滅亡したことによってアルミニアの領土は我が国と隣接したことになります。しかも最前線拠点は…」 「ハロゲン市…ですね」 クロムは少し卓に乗り出して地図を眺めた。 「もし…アルミニア軍がこのまま攻めてきたとして、今の半壊したハロゲン市では攻城兵器を持ち出されると…五日…いや、三日も持たないでしょうね」 「恐らく、すぐには軍を此方には向けれないでしょう。ジルコニアの残党による反乱の恐れがありますから」 「中央へは?」 「はっ、すでに早馬と*便鳥を」 *緊急や有事の際に中央へ文書を伝える伝書鳥。 「それにしても…我々がハロゲン市に到着する前には全くアルミニア軍の動静に関しては何も聞かなかったな」 「強力な情報封鎖によるものでしょう。帝国や周辺諸国が介入するのを畏れたのでしょうな。いやはや相当なものですよ。アルミニアの指揮官は」 970 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/08/25(火) 20 09 00.52 ID UIGyaMAO クロムは地図にあるジルコニアの辺りに目を落とした。 「しかしこの展開の早さはいくらなんでも何かおかしいですね」 「…ハロゲン市がこちらに併合を申しでたことから、東側に兵力を傾けていたとしても…それは微々たる変化。確かに、あの強国が滅亡するには少し早すぎる。…これは何かあるな」 「国境付近の防備を固めるべきでしょうか」 ラドンは国境線を指でなぞらえながら言った。 ラドン「ハロゲン市が併合され、国境を接するジルコニアが消滅したいま、国境は不明瞭な状態です。 幸いなことに我々とアルミニアには国交が開かれていますから近い内に国境線を定めるための使者が遣わされてくるか…、最悪の場合、実力で押し広げてくるやもしれません。その場合を考慮して防備を固めるのは私も同感です」 「うむ…」 アルゴンは顎に拳をあてて少し考えた。 「だが、しなくてもいい戦争を始めてしまうことは避けたい。アルミニアとの対応はひとまず相手の出方を探り、私の権限でハロゲン市にさらに兵2000を治安維持の名目で派兵するとして、大勢の決定は中央の判断を仰ぐとしよう」 ラドン「わかりました」 「ラドン、アルミニアについて何か知っているか」 「…私が存じているのは、三年前アルミニアの王が逝去し、双子の娘の姉が王位を継いだことと、その双子の妹が軍の指揮官につき黄豹と呼ばれ周辺諸国に恐れられていることぐらいです」 クロム「恐らく、ジルコニアを滅亡させたのはその黄豹でしょう」 アルゴン「………黄豹………か」 クロム「さっきから気になっていたんですが、席がもう一つ用意されてるところを見るとまだ誰か?」 ラドン「あ、えぇ、そろそろ着く頃だと思います」 983 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/09/15(火) 22 23 53.05 ID sW.xEkAO 982そっか どっちでもいいけど 中途半端だし物語に関わらないし 何やってるのかよくわからないから てか少し恥ずかしい…// 現在ストーリーと設定を勉強の合間に あれこれ考えるとですね 最初は何も考えずにやってたものですから 色々とむちゃくちゃしすぎて 凡才ながらちゃんとした物語が書きたくなってきた今の自分としては だいぶん後悔していることが多々あります… やりすぎました。えぇやりすぎました。 ほんと、最初から書き直したいぐらいです。 キャラに愛着が沸いてきた今では非常にキャラに申し訳ない… これらは何も考えずパンパンやっちゃった自分が悪いのですが 楽しんでもらえたのなら自分はそれで構いません。 それで嬉しいです。 でもですね… 物語を考える上でそれらが弊害として表れてくるわけです。 自分の書きたいものとのGAPが出てきてしまうんです。 例えばあの2人はもう一定のゴールを迎えてしまった。 なんて言えばいいか… それを否定したらこのスレが否定されるわけですが 今思うと段階を踏んでもっと先でもよかったかなと思ったりするんです。 それを書くのがすごい楽しそうだし。 すいません。愚痴みたいで。 はっきり言ってエゴです。 でもどうやったら面白くなるかなとかを 考えた結果としての自分の気持ちです。 そしてそのGAPが筆を少し鈍らしているのに若干影響しているのは否定しません。 でもそれは自分にそこからを考える才能が乏しいからであり 一概に過去の自分を責めるわけではありません。 ですがもうすでにここまで来てしまいました。 このままやっていきます。 凡才ながら完璧主義の自分が憎いです。 あれもしたいこれもしたいではやはり物語を作るのは難しいですね。 すいません。どうでもいい今の心境を長文で述べさせてもらいました。 忘れて下さって結構です。 はっきり言って続きを書きたくてウズウズしてます。 そして早くパソコン欲しい 984 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/09/15(火) 22 28 29.11 ID sW.xEkAO あと一つ… パソコン買えて時間があるなら ちゃんと設定練り直した上で やり直すかもしれません でもそれは皆さんを裏切ることになるので あくまで可能性として留めておきます。 985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/15(火) 23 42 03.46 ID wiphCR6o 1が書き直したいと思うなら、書き直していいんじゃないかな 書いていくのが 1である以上、 1が納得できるものを書くべきだろ 悔いが残っていて納得できない状態で書かれたものを読むのは俺も嫌だしね ここまで来たらいっそ徹底的にこだわって設定詰めたりストーリー練ったりして、 1なりの最高のものを書いてほしいと俺は思う ちょうどスレも終わるし、いい頃合いじゃないか? というか、 1はいい加減に受験勉強に集中すべきwwこれから追い込みだろうがww 986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/09/16(水) 03 48 22.80 ID XnFr2kDO 確かに受験に集中すべきだww 別に裏切るとか、そういうのはないと思うよ 自分は読むだけだしなww 987 :1 ◆DlyW/s8ibQ[sage saga]:2009/09/17(木) 08 33 05.52 ID 1KoU5sAO 985-986今の所は考えておくに留めておきます。 もし仮にやり直すとしたら 大筋はあまり変わらないかもしれませんが 人名や性格、設定は大きく変わるかもしれないですね 別にけしからんことが嫌いになったわけじゃないです。 自分も日本男児でありますから。 ただワクワクするような方が自分は好きだってことに気づいたのであります。 裏切るってのは少し語弊があったかもしれないですね。 最初にあれで釣っといて急に変えるというのに少し皆さんに後ろめたさを感じたので……。 そろそろ受験に集中します。
https://w.atwiki.jp/mrstudy/
MR研究会@Wikiへようこそ! MR研究会のまとめ的なページです。 でも、ネタです。 注意! このWikiは管理者のみが編集できる様になっています。編集希望者は会長マデ。 総カウント - Today - Yesterday - 編集参考 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください @wiki助け合いコミュニティの掲示板スレッド一覧 #atfb_bbs_list 機能満載! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール
https://w.atwiki.jp/itomanserver2/pages/15.html
ギルド紹介 マスター itoman5541 メンバー kouzi913 管理人のギルド。特に特別なことはない。 初心者の方はこちらへどうぞ。 以上。
https://w.atwiki.jp/londonbashi/pages/26.html
#blognavi ブログ機能使用テスト カテゴリ [日記] - trackback- 2005年09月10日 20 05 00 #blognavi
https://w.atwiki.jp/hutu_minecraft/
ふつーのマイクラ(HNMC)@wikiへようこそ 当wikiはでぶ氏によって投稿されているMinecraftの動画シリーズ「ふつーのマイクラ(HNMC)」に関する情報をまとめた公式かもしれないwikiです。 当wikiはどなたでも編集に参加できます。些細な情報でも構いません、ふつーのマイクラに関するあなたの知識を是非お寄せ下さい! 更新履歴 2024-03-17 「ふつーのサバイバル」の記事を公開 2023-12-09 「ふつーのマイクラの用語一覧」の記事を公開 2023-12-07 「ID順参加勢一覧」の記事を公開 2023-12-05 「ふつーのマイクラ」の記事を公開 2023-12-04 「動画シリーズページのカテゴリ」の記事を公開 2023-12-04 「ふつーのマイクラ@wiki」開設
https://w.atwiki.jp/lusitania022/pages/22.html
ページを分割、整理しました 「このページ放っておくと、メチャメチャ長くなりそう・・・」 と危機感を感じ始めたもんですから、まいこーさんにナイショでページを分割・整理してみました。 (意外な事にまいこーさんは@wikiの編集がイマイチな模様) メニューからも入れますが、念のためリンクを貼っておきます。 ボウケンジャーへの誘い:初心者編 ボウケンジャーへの誘い:初級者編 ボウケンジャーへの誘い:中級者編 ボウケンジャーへの誘い:鬼道編 ボウケンジャーへの誘い:番外編 冒険ツールのリンク 大航海時代onlineまとめwiki別館 大冒険 DOL+1(DOL-TOOLSのDOL+1からダウンロードします) 論戦デッキビルダー
https://w.atwiki.jp/magicalclub/
マジカル部@wikiへようこそ 部員で気軽にホームページ編集。 マジカル部の「偉業」基「奇行」を綴って行こう! ※マジカル部は2010年現在、活動を停止しています。 自分のデッキのページを作るといいかも。オリジナル、部内で思い出のあるデッキ…。既にページが作られている場合デッキの名称は仮のものなので、気付いたらその都度変更してください。 カードのリンクは全てWisdomのページに統一。検索から入るとアドレスが短くてよい。 まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能\紹介 @wikiの設定/管理 バグ・不具合を見つけたら? お手数ですが,こちらからご連絡宜しくお願いいたします。⇒http //atwiki.jp/guide/contact.html 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 @wikiへお問い合わせ 等をご活用ください。